2018年 02月 04日
「ももこのトンデモ大冒険」~オカルトリテラシーに役立つ書物②~
杏砂です。
「ももこのトンデモ大冒険」
さくらももこ著 徳間書店5次元文庫
さくらももこは知る人ぞ知るけっこうスピリチュアル系の人です。
私はコアなファンというわけではありませんので、出版物を見た限りの感想ですが。
さくらももこと言えば「ちびまる子ちゃん」が一番に思い浮かぶ人が大多数でしょうか。
私は「コジコジ」です。
コジコジはそもそも宇宙人、なのですよね。
「コジコジ」の世界観が大好きですし、コジコジという穢れのない、そしてそれがゆえの本質を突いてくるキャラクターが大好きです。
昔、アニメもありましたよね。
テーマソングもステキでした。
いわゆる瞑想状態の雰囲気のなかにすっと吸い込まれていくような、そんな心地を覚えるような……。
下世話な話をしますと、子育て中で、近所の意地悪で極めて利己的なお母さんたちの荒い波動から逃げる場所、でもありました。
「ユートピア」に近いのかな。
もうひとつ忘れてはならないさくらももこの作品があります。
さくらももこは、こちらでもご紹介した「アミ 小さな宇宙人」三部作(徳間書店)の表紙と挿絵を担当しています。
さくらももこが宇宙人なのだろうか?
……
前置きが長くなりました。
帯の部分にこうあります。
【UFO、宇宙人、超常現象のことはこの「ももこ」にまかせなさい!】
【不思議大好きファンに贈る超ド級の大爆笑エッセイ】
さくらももこのエッセイはスピ系に限らず、思わず吹き出してしまうものばかりなので、電車の中で読むと恥ずかしい思いをします。
でも読まずにはいられない。
いっときはまって、ブックオフで何冊かまとめて買いました。
なかでもこの「ももこのトンデモ大冒険」は異色のスピリチュアル本です。
徳間書店は、超古代文明系とか異星人系とか「トンデモ」本も得意分野。
この本は、その徳間書店のトンデモ本編集者“石井さん”とともに、徳間から出版されている「トンデモ本」の作者に会いにいった「トンデモ旅日記」です。
さくらももこは、決して「トンデモ」を暴こうなどという魂胆ではありません。
トリックを見破れ!的な企画でもありません。
“石井さん”に頼んで読ませてもらった徳間のドンデモ出版物の作者と会いたい、そこへ行ってみたい、という心からの興味と好奇心から、同行取材許可を会社から得た“石井さん”と(他友人など)行ってみたら、トリック的な事の数々を体験、見聞きして帰って来ました、そんな感じです。
これを読むと、さくらももこがスピリチュアルでありながらも、
全て片端から信じ込んでいるわけではなく、つまり、狂信妄信ではなく、
地に足がしっかりついている、そのうえでの本人のスピ感覚なのだな、ということがよく理解できます。
そして、ものすごい「トンデモ」を発見しても、決してそのトンデモさんをバカにしたり非難したりはしていません。
何というのでしょう。さくらももこの人柄なのでしょうか、
自分の相手も一生懸命、そんな感じを受けます。
一方で、大爆笑させられながらも読者は、
UFO宇宙人超常現象の類のほとんどが「作り物」なのだな、というリテラシーを持つことができます。
「幽霊の正体見たり枯れ尾花」的な。
自分で確かめにいくにはお金がかかり過ぎますし、無意味なものを購入して後悔するのも悔しいですから、その基調を自分のなかにつくっておくための良書でもあるように私は思っています。
そもそも、そのトンデモパワーを持っていると主張する人たちも、嘘をついてはいないのかもしれません。
最初はあったけど、今はパワーが消えた、という人だっているでしょう。でも、それで金儲けできた実績からは離れることができないでしょうし、あるいは、そのパワーがまた戻ってくると信じている人だっているでしょう。
もちろん、はなから詐欺で荒稼ぎ、というやからも世界中には大勢います。
ただ、同じ詐欺でも、スピリチュアルの場合は、大なり小なり、何らかの超常現象体験を持っている人のほうが多いように私は思っています。
目次をあげておきます。
トンデモ編集者、石井さんとの出会い
ベル博士の謎
トム・ブラウン・ジュニアのサバイバルスクールに行く
エンリケ・バイオスさんに会う
幻の漢方薬じいさんを訪ねて
スプーン曲げの信州の旅
徳間書店から出版している書物の内容の真偽が問われることにもなりかねないような実証レポートをよく出版したな、というのもひとつの感想です。
それでも問題にならないところが「トンデモ本」のスタンスなのでしょう。
読者も、本当なの?的感覚。
目次にある「エンリケ・バイオス」は「アミ 小さな宇宙人」の作者です。
私はこれを初めて読んだときは心底信じてしまいましたが、時が過ぎますと、この人は作家で、これは創作なのだな、と理解しました。
けれども、内容は素晴らしいもので、なにひとつ人をだまくらかすようなことは書いていません。アミは、人間として大事なことばかりを話してくれます。
そして世界がかなりおかしくなっていっている現在となりましては、ある種の「警鐘」にもなっているのかもしれません。
さくらももこはこう書いています。
この本は精神面における意味の含みがとても多い本で、読み手はいろんな角度からたくさんのことを考えることができる素晴らしい本だ、と私は感じていた。
(P91)
あの物語の神髄は、UFOとか宇宙人が実在するのかなどということは別にそれほど重要ではない。魂で何を感じるかが重要なのだ。
(P93)
そして「あとがき」にこうあります。
1年後、世界がどうなっているのかなんて想像もつかない。国家レベルで対策を考えることと共に、個人レベルでそれぞれ慎重に生きてゆくことが大切な毎日だ。
何かが大きく変化する時は、いろいろなことが起こり、それはだいたい辛いことだったりするけれど、世界が今そういう時期を迎えているのなら、その変化のなかで生きてゆかねばならないことを自覚し、個人で対処してゆくしかない。
この世界の変化が、とても良い世界の成長につながることを祈っている。
(P168)
国家レベルでの対策は、トランプ大統領登場以後、さくらももこ、エンリケ・バイオスらが思う平和の方向での対策から遠ざかってきています。
それでも私たちはそれぞれの国で生きていかなければなりません。
それこそ、平和で穏やかなアミの暮らす惑星のような星があるのなら、移住したいと思う人は大勢いるのでは?
「個人レベルで慎重に生きていく」しかないのかもしれません。それは、決して国の策略によって恐怖心をあおられていくことではなく、精神面、魂を育てていき、いざというときに平和を選択する覚悟をしておくことなのではないか、と私は思っています。
そう考える人たちが増えていけば、世界の成長につながっていくのではないでしょうか。
by 7of9voyager
| 2018-02-04 09:42
| 書物